2021年6月29日火曜日

人口減

 

「コロナ禍 少子化加速」と新聞に大きな見出しが載った。コロナ禍で在宅時間が増えれば子作りに励む人が増えても良さそうなものなのにと思うのは時代の流れに乗っていない証拠なのだろうか。記事によれば感染拡大による先行き不透明感のせいだそうだ。と言うより、子作りに有利な環境になっても少子化が止まらない程事態が深刻だと考えるべきだろう。同じ日の夕刊には去年行われた国勢調査の報告が載っていて、日本の人口は二回連続の減少となったとか。

人口減少の傾向は世界的なもので、一番深刻なのは韓国らしい。出生率が0.8と三年連続で1以下となり、このままでは2100年までに人口が半減し、将来的には国が消滅する恐れがあるとか。あの中国ですら少子化対策を迫られる有様で、かつては人口爆発による食糧不足が心配されたが、今は急速な少子化という逆の心配をしなくてはいけないらしい。つまり労働力人口の減少とそれによる経済の停滞だ。国の膨大な借金は経済が将来的に漸次拡大する前提で成り立っているのだから、その前提が崩れれば確かに心配だ。

しかしどうだろう。経済がこれ以上拡大しない世界もありではないか。経済は基本的に便利さと快適さを求めて進歩してきた。お伊勢参りは歩いて行ってたのが、新幹線ですぐ行けるようになった。冬の寒さ、夏の暑さはエアコンで快適になった。これ以上何を望む事があろう。月や火星へ行けなくなるかも知れないが、月は中秋の名月を酒と共に愛でる程度で丁度良い。

人口が減少すれば環境問題も自然に解決する。これ以上の快適さや便利さは諦めなければいけないかも知れないが、自然豊かなスローライフはむしろ幸せをもたらすような気がする。そうした皆が穏やかに暮らす幸せな世界を生きている内に見る事が出来ないのが残念だ。いや、経済縮小によるカタストロフィーを見ずに済む事を喜ぶべきか。

2021年6月22日火曜日

ワクチン

 新型コロナのワクチンを打った。テレビでは経験者の「痛くなかった」という声が盛んに報道されるが、一般の注射並みには十分に痛かった。副反応についても軽微であることを強調する報道が目立つが、異物を体内に注入して何もないはずがない。開発されて日が浅く、長期的な副反応が不明なワクチンを注射する事は賞味期限の切れた食品を口にする事より遥かに勇気が要る。後者なら万が一の時には体が嘔吐や下痢で排除してくれるが、前者にはそんなメカニズムは通用しないから。アナフィラキシーで済めば有難いくらいだ。痛みと言い副反応と言い、権威への盲従を強いられているみたいで気分が悪い。とは言えこのご時世、ここは目をつぶって長い物に巻かれる事にした。

ワクチンと言えば子供の頃受けたBCGを思い出す。NHKのチコちゃんによれば子供の方が注射の痛みに大人の数倍敏感だそうだが、あの痛みは一体何だったのだろう。BCGを避けたい一心でツベルクリン反応が陽性と判定して貰えるように検査部分を口で吸って赤味を増やす無駄な抵抗をしたものだ。それだけ痛い思いをしてBCGを打っても必ず抗体が出来る訳ではなかったようで、翌年もツ反検査を受けさせられた。その点、今度のワクチンは接種後の抗体検査も必要ない程性能が良く、痛みも一般の注射並みという事で、それは医学の進歩の一面だという事だろうか。

接種会場の手際良さには感心した。予約時間の15分前に着いたが、即対応してくれ、受付、問診、接種、待機、と流れるように進み、待ち時間は一切なかった。病院と言えば予約時間に行っても一時間近く待たされる事がざらで、それが病院嫌いの主要な要因になっているのに。病院もやれば出来るじゃないか。問診の先生が退屈そうなのが気になった。

2021年6月19日土曜日

二毛作?

 予想通り麦は刈り取られた。刈り取った跡を見ると機械での刈り取りだった事が良く分かる。昔の農家は二毛作もやったと言うが、この状態から土を改めて耕し、水を引き、そして田植えをしたわけだ。しかも機械の手を借りずに。昔の人はなんと働き者だったのだろう。



2021年6月15日火曜日

各種疑問

 

「私は五輪の主催者ではない」と首相は仰る。確かにそうだ。総理が主催し、国を挙げてやるというのなら仕方ないが、どこかの任意団体が主催するイベントにどうして国民がリスクに晒されねばならないのだろう。もしグローバルに事業を展開する某大企業が国内外から社員を集めて大運動会をすると言ったら、国はそれを許可し支援するのだろうか。

IOCから開催準備について高い評価を得た」と組織委員会会長は仰る。先生に褒められた事を家に帰って自慢する小学生のように。我々が知りたいのは開催に向けてIOCの準備と覚悟だ。参加人数は必要最小限とし、目的が明確でない人は排除した上で各員の渡航目的にそった行動計画を立て、その計画から外れた行動を取った場合は即刻国外退去とする。行動ルートを明確にし、ルートに沿ってより確実な感染対策をするためである。というような声明をIOCが出してくれたら、「開催に向けてのIOCの覚悟を高く評価する」と言えるだろうに。

G7では各国首脳に五輪開催についての理解を得る」と首相は仰る。日本国内の民意がやりたがっているのに、日本が感染危険地域だから海外選手が行きたがらない状況なら海外首脳に理解を得る事も必要なのだろうが。世界の中での日本での感染状況はある人曰く「さざ波」程度で、海外からやってくる人達による国内感染の拡大を心配している状況では理解を求めるべき相手は外国首脳ではなく、リスクに晒されようとしている国民であろう。そちらに対しては「安心安全な大会を目指す」と空念仏を繰り返し、一体どのような言葉で海外首脳から何の理解を得ようと言うのだろうか。

もし今度の五輪の開催地が感染の激しいインドやブラジルであったならIOCはどんな態度で臨んだのだろうか。

2021年6月12日土曜日

麦秋

 1月中頃見た時は雑草かと思った。その麦が半年たって見事に実をつけた。太陽の素晴らしさと有難さを実感する。



麦秋は夏の季語。来週にはもう刈り取られているに違いない。




2021年6月8日火曜日

嫌な事

 新車の購入に当たってディーラーの示す見積書を見ると「希望No申込手続代行費」という項目で数千円の計上があった。これは何かと問えば、車のナンバーが嫌な数字にならないよう、こちらの希望を伝えるための費用だと言う。嫌な数字って何だろう。49が並ぶものだろうか。それとてお金を払ってまで避けたいとは思わないので、その項目は削除して貰った。

大坂なおみ選手が記者会見を拒否した。お金を払ってまで避けたかった質問とはどんなものなのかと疑問が湧いた。私生活に土足で入り込んで来るような質問や、忘れてしまいたい過去の失敗や忌まわしい出来事をことさらほじくり返すような質問がそうなのだろうが、記者だって最低限の倫理観は持っているだろうからそれなりの歯止めはありそうだ。

テニス選手を実際に怒らせた質問の例がネットに載っていた。以下はその引用。ニック・キリオス()は「デミノー(豪)はナダルを倒せるか」という質問に対して「今までで一番くだらない質問だ」と答えた。結婚がプレーに影響しているかと問われたナダルは「本気で聞いているのか? 真面目な質問なのか、それともジョークか」と言い返し、「ふざけた」質問だと怒った。シモナ・ハレプは胸の大きさを小さくする手術を受けたのが「役立ったのはコートの中か、それとも外か」と聞かれたことがある。

最後のは言語道断にしても、基本的に嫌な質問には「答えたくない」と回答を拒否すればよいのであって、会見自体を拒否する必要はないようにも思える。

全仏を棄権した大坂選手が心配だ。マッケンローは26歳の絶頂期に突然引退したボルグを引き合いに出して危惧している。彼女には女子テニス界の歴史に燦然と輝く名選手になって貰いたい。記者なんかに負けるな。

2021年6月1日火曜日

尊民攘夷

 

多くの民意が五輪開催に疑問を投げかける中、IOCのごり押しに屈して五輪開催を強行しようとしている政府の姿勢にどこか既視感がありはしないか。そう、現在大河ドラマで進行中の幕末の様子に似ている。あの時は幕府が外圧に負け天皇の勅許も得ないまま開国に関する条約を結んだ事に憤慨した志士たちが尊王攘夷の声を挙げ、それはいつしか倒幕運動に発展した。IOC幹部たちがいつまでも日本国民の民意を無視した傍若無人な発言を繰り返していると、その内「尊民攘夷」の運動が起きるのではないかと心配になる。

しかも夷狄の要求は幕末の時よりもっとひどい。幕末に黒船が要求したのは自国の捕鯨船に対する食糧や燃料の供給をして欲しいという事に過ぎなかったのに、今回表向きは選手に活躍の場を与えたいと言いながら、自分らの金儲けが主たる目的なのが透けて見える。IOCのあの強気な発言の裏には一体何があるのだろう。

日本を代表してIOCと交渉している人達はちゃんと国内の事情を説明しているのだろうか。五輪は平和の祭典と言われる。謂わば一種のお祭りだ。お祭り気分で平時を忘れる事も一つの目標だろう。前の東京大会の閉会式で雪崩れ込んだ選手団が日本の旗手福井選手を肩車したあの光景こそ、五輪の真骨頂に思える。だが現在、集まってお酒を飲むこともままならず、ましてやお祭り気分なんて。仮に緊急事態宣言が解除されたとて、この状態はあと数か月は変わらないだろう。まさかIOCファミリーだけがお祭り気分で浮かれようという訳でもあるまい。

日本は「おもてなし」を大切にする国だ。しかし同時に相手の立場を斟酌する「おもいやり」も大切にする。「おもいやり」に欠ける人は「夷狄」と呼ばれる事を覚悟しないといけない。