2021年7月20日火曜日

チャイニーズ

 

「日は西に傾く」

陳舜臣「中国の歴史」第六巻の清朝末期を語る章のタイトルである。その一つ前の章は「三世の春」。康熙・雍正・乾隆の三帝が治めた頃、中国は間違いなく世界一の国だった。「天朝は物産豊盈、有らざる所なく」とイギリスから来た使節の通商の申し込みを断っている。しかし、乾隆帝の治世が終わった頃から輝きを失い、アヘン戦争などを通して中国は世界一の座を降りていく。

中国は長い間東アジアをリードして来た。人民解放軍と言う名の軍隊が人民に銃口を向けるような今の中国は論外だが、権力に屈しない気骨のある格好良い人も多く輩出し、私は一応の敬意を持っている。同じアジア人として西洋の鼻を明かしたいという思いもある。それにしてもIOCバッハ会長の「最も大切なチャイニーズピープル・・・」は頂けない。

中国の偉大さ故か、西洋人がアジア全体を中国と一体視してしまうという話はよく聞く。我々がアフリカの各国を個別に認識できないように。それでもこれから自分が行こうという国については事前に勉強もするだろう。そしてバッハ氏はジャパニーズと言うべきところをチャイニーズと言ってしまった。

バッハ氏の頭の中はお金とスポンサー探しで一杯なのだろう。確かに先日行われたサッカーの欧州選手権を見ると、ティックトック、ハイセンス、アリペイなど中国企業の宣伝広告が目立ち、日本企業は全くなかった。サッカーの大会と言えばかつてはトヨタやキャノンなどが常連だったというのに。

五輪もいつかは中国がメインのスポンサーになるだろう。そうすると競技時間も中国のゴールデンタイムに合わせて行われるのだろうか。ならばそれは中国と時差の殆どない日本人にとっては誠に喜ばしい事ではないか。

日はまた東から昇るのか。

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