2022年5月24日火曜日

4630万円の謎

山口県阿武町の誤送金事件は腑に落ちない事だらけだが、マスコミ報道はそのどれにもまともに応えてくれない。

まずは送金を実行した銀行の過失を問う声がない。町が通常使っているフロッピーディスクではなく、紙の依頼書を送ったのがそもそもの原因だと言われる。紙の依頼書の場合、名簿の一番上の人に送金する事になっている、というのも信じ難い慣行ではある。その依頼書の実態が全然報道されないが、その書類には「生活困窮者に対する特別給付金」だというような標題はついていなかったのだろうか。もしそういう文字があったのなら、一人に送金する額として不自然である事は銀行の担当者ならすぐ分かった筈だ。実際に町は銀行からの指摘によって誤振込に気付いている。銀行から町への問い合わせが振込前に実行されていれば、誤送金は防げた筈だ。

支給対象の名簿も不思議だ。一番上がアイダとかならともかく、タグチが一番上になったのは何故か。よりにもよって最悪の人になってしまった。週刊紙によるとホームセンターの正社員として月25万円の給与を貰っている独身貴族が生活困窮者として支給対象名簿に名を連ねている事も不思議だがマスコミはそれを取り上げてくれない。

弁護士と相談した後も出金を続けているのを見ると弁護士がどんなアドバイスをしたのかも不思議だ。弁護士とは本来依頼者の利益の為に知恵を出す職業の筈だ。だとすれば、高々4630万円のために人生を棒に振るよりも、ホームセンターの正社員として正直に生きる方が遥かに本人の為になるという事を日本の司法制度に照らして説明すべきではなかったか。それともそれだけの常識や倫理感すらない人が弁護士を名乗って仕事しているのか。それがこの事件で一番ショックな事だった。

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