国際報道で流れた二つの行進の映像に注目した。
一つはモルドバで行われた対独戦戦勝記念のパレードの様子を報じたもの。吹奏楽の音楽隊が皆それぞれ独自の服装をしている。白いワイシャツ姿でトランペットを吹く人、黒いジャケットを着てトロンボーンを吹く人。その雑多な服装は全員が綺麗に揃った服を身にまとったモスクワでの行進と見事な対照をなしていた。
皆が同じ服装で一斉に同じ行動を取るという事に私はちょっとした恐怖を感じる。ナチスがそうだった、北朝鮮もそうだ。そこには「強制」「動員」といった裏側が透けて見える。全員が自発的に参加したものならその服装はバラバラになって当然だ。
物理学に乱雑さを示す指標としてエントロピーという概念がある。熱力学の第二法則はエントロピー増大の法則と言う。自然は放っておけば乱雑になる、と言うのだ。人間社会にも同じ法則が成り立ちそうだ。自由な社会は乱雑さを好む。民主主義はエントロピーを増大させるのだ。
もう一つの行進はアフガニスタンの政府の方針に抗議する女性のデモだった。タリバン政権の勧善懲悪省(こんな組織があること自体が驚きではあるが)が家族以外の男性の前では女性に顔を覆うことを義務化しようとしている事に対して女性が反対の声を上げた。ここで気になったのはデモ行進をしているのが全員女性で、男性が一人もいなかった事だ。
イスラム教では女性の美しさを公にしてはいけないらしい。イスラム教徒の女性はほとんどがスカーフで髪を隠しているのも髪が美しいからだ。これは女性の性的魅力を覆い控えめな見た目にして、性被害を避けることが目的だそうだが、アラブの男性達は美女の顔を見ただけで劣情を催すような存在であると思われている事に異論はないのだろうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿