経済産業省がスポーツ賭博を合法化する方向で検討を進めているらしい。読売新聞は6月7日の一面トップでそれを報道し、「猛反発は必至」と断固反対の論調で紙面を埋めた。
賭けの対象としては野球やサッカー、バスケットボールなどが想定されているようだが、野球賭博と言えばかつて池永投手が追放された黒い霧事件を思い出してしまう。今ならさしずめ大谷翔平や佐々木朗希が追放されるかのようなショックだった。そんな賭博をどうして今頃また蒸し返そうと言うのか。推進派の言い分を聞いてみると、日本以外のG7先進国では既に合法化されていて、そこで行われている賭けに日本人が参加し相当金額が国外流出していると言う事情もあるらしいが、この議論を進めている経産省の「スポーツ産業室」という名前からして要するにスポーツを通じてなんとか金儲けをしたい、というのが本音のようだ。文科省のToToに対抗する形の金蔓が欲しいのだろう。
スポーツをお金にする事で一番成功したのはオリンピックだと思う。しかし本来スポーツはお金儲けとは縁遠い存在のはずだ。記事を読むと「健全なスポーツの育成」という言葉が出て来る。健全なスポーツとは何か。白血病と戦い、それを克服してメダルを目指す池江璃花子選手の鬼気迫る物語は感動を呼ぶが、しかし健全さとはもっとどこにでもあるような凡庸なすこやかさを持つものであって欲しい。初老の男女が健康と親睦のために週に何回かテニスを楽しむとか、中高生が部活として汗を流しその活動を通じて淡い恋心が芽生える、のような。
万事がお金で価値を測られる昨今の世の中にあって、せめてスポーツくらいはお金と無縁であって欲しいと、テニス愛好家の一人として思う次第であります。
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