8月11日の新聞は「大谷『神様』並んだ」と大谷の二刀流としての偉業達成を喜ぶ記事が紙面を飾った。日本人として仲間が本場で活躍する姿を見るのは嬉しいに決まっている。だがそこで、アメリカ人はどう感じているのかという思いがよぎった。
異国の選手が神様ベーブ・ルースと並ぶのを見るのは、立場を変えれば我々日本人にとって外国人力士が双葉山の記録と並ぶのを見るようなものだろう。狭量な私はそんな事にでもなれば気もそぞろになって、例えば白鵬の連勝記録が69に限りなく近づいたら彼が土俵で怪我をするとか、食当たりにでもなってくれないかと願ったりしたかも知れない。
大谷の10勝目が何度か足踏みしたのも、アメリカ人のそうした心理が影響したのではないかと邪推をしたが、どうやらそれは下衆の勘繰りに過ぎなかったようだ。1918年のルースの記録と、今年の大谷の10勝を上げた時点での記録を比較して面白い事に気が付いた。試合数は95と107,勝利数は13勝と10勝、安打数は95と102でほぼ同じ。だがホームラン数は11本と25本で倍以上も違う。そしてホームラン数がそれだけ違うにも拘らず、打点は両者とも66で同じだと言う事だ。つまり大谷が打席に立った時、塁が埋まっているケースが少なかった事を意味する。味方の援護の少なさを考えると大谷のより凄さを感じる。
もっとびっくりしたのはルースが盗塁を6個も決めている事だ(大谷は11個)。彼の生涯を描いた映画「夢を生きた男、ザ・ベーブ」では深酒も夜更しも当り前の不摂生で、相手チームからは風船野郎と野次られるほど太って、まともに走る事も出来ない選手として描かれていた。「我未だ木鶏たり得ず」と言った双葉山との対比を思ったが、実際はどうだったのだろうか。
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