刑務所という所がどんな所か、実際にこの眼で見た事がないのでニュース報道や映画で表現された映像から想像するしかない。本来、悪事を働いた人を罰するための場所なのだから快適な環境ではあり得ない筈なのだが、VIP待遇を受けそこから出たくないような場所もあるのには驚いた。
「ショーシャンクの空に」という映画は冤罪で投獄された男性が脱獄する話だが、所内で気晴らしのため時々野球大会などが催され、それを見た小学校低学年だった娘が「刑務所ってこんなに楽しいの」と聞いてきたのを思い出す。ヒトラーがミュンヘン一揆の失敗で投獄された時は比較的恵まれた環境に置かれ、我が闘争の執筆に時間を費やす余裕があったそうだが、それは特殊なケースだ。韓国映画「シルミド」は刑務所にいた囚人達に「国家に貢献したら罪を帳消しにしてやる」と言って軍の特殊部隊を結成し、猛特訓を課す場面が描かれるが、背中に焼き鏝を当たられるような過酷な仕打ちを受けても「それでも刑務所に帰るよりましだ」と言う。それが本当なら韓国の刑務所ってなんとひどい所か。緒形拳が何度も脱獄を繰り返す凶悪犯を演じた「破獄」に描かれた刑務所が一番実態に近いのだろうと思う。
それにしても賄賂を渡せばエアコンの効いた部屋で美食を楽しみ時々ゴルフまで出来る刑務所が現実にあろうとは。賄賂を受け取り相手の便宜を図るのは人間の弱さの表れとしてある程度やむを得ないとしても、VIPルームを用意するのは組織の問題であって、何かおかしい。裁判を長引かせてそこから出ないようにしようと思わせるなんて言語同断で、即刻いたたまれない程の厳しい環境に移すべきだろう。そうでもしなければひどい殺され方をした90歳のお婆さんが浮かばれない。
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