ChatGPTに次に質問したのは「モーツァルトの傑作は何ですか?」という問いで、その答えは以下の通りだった。
「モーツァルトは、多くの傑作を生み出した有名な作曲家です。その中でも特に著名な傑作をいくつか挙げてみましょう。交響曲第40番(G短調、KV 550): モーツァルトの交響曲の中でも特に有名で、情熱的で豊かな旋律が特徴です。」に始まり、クラリネット協奏曲、歌劇「魔笛」、ピアノ協奏曲第21番、弦楽四重奏曲第19番、レクイエム、を列挙した。流石に満遍なく広いジャンルから曲を選んでいるが、音楽ファンならこの答えにちょっと首を傾げたくなるだろう。
40番の交響曲が傑作であるのは間違いないが、それを「情熱的で豊かな」と表現する人はまずいない筈。むしろ哀愁に満ちた哀しげな旋律に魅力を感じている人が殆どだろうから。(他にピアノ協奏曲第21番の説明には「"エリーゼのために"としても知られ」などと誤りもあるがそれは御愛嬌か)この答えを見て思うのは知識としてモーツァルトの傑作が何かを知ってはいるが、それを実際に聴いた事もなければ、心を揺さぶられた事もないのだなという事だ。機械だから仕方ないとも言えるが、時々人間でもそういう人はいる。
色々沢山本を読んでいて知識は豊富なのだが、言ってる事が殆ど本の受売りで、自分自身の意見というものがはっきりしない。「で、君はどう思うの」と聞き返したくなる事もある。ChatGPTもその類なのではないか。
論語には「学びて思わざれば即ちくらし」とある。ChatGPTはまさにそれで、あちこちから情報を搔き集めるという「学ぶ」事は得意でも、「思う」事つまり自分で感じ考え感動する事は出来ない。ChatGPTと付き合う際にはその事をしっかり肝に銘じておくべきなのだ。