2025年7月29日火曜日

関税自主権

 学校の歴史の授業で習った事なのだが、明治維新の政府は幕末に結んだ外国との不平等条約によって、関税自主権が認められず大変苦労し、その改訂に全精力を注いだと。具体的には海外から無税で入って来る安い織物で国内の産業が大きな打撃を受けた等があったようだ。

21世紀の大国であるアメリカ合衆国が同じ悩みを持っているとは驚きだ。国内の自動車産業が苦しいから他国からの製品流入を食い止めようと。尤も彼等は不平等条約などに縛られている訳ではなく、自国の関税を自分等で決める権利がある筈だから、彼等が「国内産業を保護するためにこれから関税を25%にします」と言えば、他の国はそれに従うしかないように思える。だが、事態の推移を見ると彼等の主張はあたかも他国を恫喝するかのようで、それが嫌なら何か俺達の利益になるような提案をしろ、とでも言っているかのようだ。

明治の日本政府はまだヨチヨチ歩きで、何より国内の産業育成が大事だったのは分かるが、国内にITなど先端産業や金融など強い産業を抱える大国アメリカまでもが国民が安い製品を手にするメリットを捨てて、国内の一部産業の保護育成を重視するのは如何なものか。

トランプ政権の無理難題に「はい、分かりました。」と言って今まで100万円で売っていた物を125万円にして売ってみたらどうだ。それで彼の国の市場がどういう反応を示すのか。トランプ政権の傍若無人な主張をコントロールできるのは他国の諂いではなく、主権国家としての国内の民意しかない筈だ。

極東の某首相のやけくそのような「なめられてたまるか」などと言うような強がりは何ともお門違い。そんな気持ちで行う交渉は国益を損するだけのような気もするが、さて結果はどうであろうか。

2025年7月22日火曜日

孝の終わり

 身體髮膚受之父母 不敢毀傷孝之始也

西安は碑林博物館の入り口付近の石碑に書かれたこの言葉を「身体髪膚これを父母に受く。あえて毀傷せざるは孝の始めなり」と即座に読みくだいて、そばにいた現地の中国人ガイドを「お主、やるな」という顔つきにさせた事は今でも楽しい思い出だ。

これには続きがあって「身を立て道を行い、名を後世に揚げ、以て父母を顕わすは、孝の終りなり」となる事を最近知った。あの石碑にも当然それは刻んであったのだろうが、途中で得意になって続きを読まなかったのは全くの不覚であった。この文言は「仰げば尊し」の「身を立て、名を揚げ、やよ励めよ」の原典になっているそうだが、はて本当にそれは親孝行の究極の目標なのだろうか。

確かに親にとって子の立身出世は何よりも嬉しい事に違いない。そして日本一の立身出世と言えば豊臣秀吉だという事に異論はあるまい。ならば彼の親兄弟は幸福だったのだろうか。秀吉が天下人になってからは、その家族も栄耀栄華を極め、贅沢な衣服に身を包み、多くの人にかしずかれて暮らした。しかしその生活は諸事勝手が違い、言葉使いにも注意を払い、ややもすれば蔑視を感じながらの窮屈なものではなかったか。秀吉の政権安定のため仲睦まじく暮らしていた夫と無理矢理離縁させられて敵国に人質に出されたりした事を度外視しても、決して安穏気楽な生活ではなかったように思う。

それよりか故郷の中村で粗末な小屋でボロ着を着て、方言丸出しで誰に遠慮するでなく、どぶろくを飲んでは大声で笑ったり怒鳴ったりしながら芋の入った鍋をつついている方が幸せだったのではないだろうか。

幸福な家庭の中心に必要なのは富や名誉よりも愛や慈や和などだと思うのは、立身出世とは縁のない身のひがみに過ぎないのだろうか。

2025年7月15日火曜日

イギリスの英語

 6月末から7月初めにかけて一週間程イギリスへ行って来た。色々驚きがあった中、一番の驚きはイギリスで英語が通用しないという事だった。

今回の旅行は旅行会社に航空券やホテルの予約はして貰ったものの、全て自分でやる個人旅行だった。空港からホテルまでは車が手配してあって、運転手が空港で出迎える筈との事、空港出口で探す事数分、やっと見つかった小太りの白人女性との会話が今ひとつスムースにいかない。ちょっとおかしいなと思いながら車に乗り込みホテルに向かった。

時間は午後5時半頃だというのに、外は真昼のように明るい。日没は何時頃になるのだろうかと、運転中の女性に聞いた。What’s the time of the sunset ? よく聞き取れなかったようなので改めて同じ質問をゆっくり発音してみると、548分だとの答えが返って来た。いや、そうじゃなくて、I asked the time of the sunset. sunsetを強調して聞くと、やっと10時頃だとの返事が来た。

しばらくすると彼女は車に備え付けたスマホで誰かと話し始める。その会話が全く聞き取れない。こちらの怪訝そうな様子を見て彼女が「あ、ごめんなさい。今、友達とポルトガル語で話してたの。私、5年前にブラジルから来ました」と言うのを聞いて、ようやく事情が理解できた。

ホテルに着いたら着いたで、受付の男性が強いインド訛りでまくし立てる。もっとゆっくり話してくれ、と頼んで何とか切り抜けたが、イギリスで英語がこんなに通じないとは思わなかった。

数年前やはりイギリスで湖水地方へ行った時も英語が通じなかった事を631回の当コラムで書いたが、イギリスで当たり前に英語が通じる訳ではないようだ。

 

2025年7月10日木曜日

ロンドンなう

 ロンドンなう。

物価の高さに驚く。いつも近くのスーパーで1980円で買っているジャックダニエルが33ポンド、ホテルの売店ではビール小瓶が約1000円。パブでのギネスは1/2パイント2杯で7.7ポンドでした。(羽田での交換レートは1ポンド=213.6円)
2人、飲み物の画像のようです

ロンドン旅行:2

 センターコートの試合が始まる前にコート12でティアフォーの試合を観戦した。日本に帰ってビデオを再生するとちゃんと自分が映ってる。(試合のシーンを早送りして、観客席が出ると一時停止して視るなんて、いけない視方かな?)



ロンドン旅行:1

 今回のロンドン旅行の目的はウィンブルドンでのテニス観戦。アルカラスの試合を見たくて初日のセンターコートを予約しました。いつもテレビではコートを縦に見ているのでボールのスピードをそれ程感じないが、真横からみると滅茶苦茶速い。あんな球を打ったら手が痺れるよ!サーブのトスは思った以上に前方に挙げている。これは早速まねしなきゃ!!

1人、テニスをしている、アメフトをしている、テキストの画像のようです

ロンドン旅行:3

今ヨーロッパが暑い事が話題になっているが、ロンドンも暑かった。緯度からすると、パリもロンドンも樺太の中部より北なので、普段はエアコンのお世話になる事はないらしい。だから私の泊ったホテルもエアコンなし。それに冷蔵庫もない。フロントで「ここはロンドンだろう!アフリカの原住民部落に来たわけじゃないんだ。なんでエアコンも冷蔵庫もないんだ!」と怒ってみたが、「ロンドンはエアコンは普通いらないんだ。」と取り付く島もない。旅行会社から配られたホテルの備品メモにも確かに冷蔵庫もエアコンもない事になっている。しかし、そんなのは付いてて当たり前と思っているから事前にチェックはしないよなあ。

‎、「‎古がこさいます。 客室設備 テレビ אהיסיררדי 電話 エアコン アイロン インターネット回線 Δ セーフティ セーフティボックス タオル シャワー 歯ブラシ トースター 石鹸/シャンー ドライヤー 電子レンジ!オーブン 炊飯器 バスタブ A ミニバー 調理器具 電源種別 冷蔵庫 ボット BFJ コーヒーメーカー‎」というテキスト‎の画像のようです


ロンドン旅行:4

 大英博物館で世界の歴史に関する本を買った。中を見ると、北朝鮮、韓国が日本から派生したように書いてある。こんなの見たら多くの人が誤解するんじゃないの。日本だってその始まりが清朝の雍正帝のころからボンヤリ始まったみたい。その程度にしか関心がないのね。







ロンドン旅行:5

 科学博物館での飛行機の展示ではJALとTDAの機体が展示してあった。JALはともかく、TDAをこんな所で見るとは!!

出雲空港を利用していた僕には馴染みの機体だけど、今の若い人が見たら、日本の飛行機だとは思わないだろうね。

飛行機、テキストの画像のようです

ロンドン旅行:6

 ロンドン塔の向こうに見える近代ロンドン。この対比が凄い!

タワーブリッジ、ロンドン塔、高層ビルの画像のようです

2025年7月8日火曜日

警察の民営化

「誰も知らない 世界と日本のまちがい」松岡正剛著という本を読んだ。副題に「自由と国家と資本主義」とあるように、国家とは何かについて考える良い本だった。

奥付を見ると初版が20071220日となっているから、丁度小泉政権が終わった頃になる。当時一世を風靡した新自由主義を意識した記述が多い。社会の様々な機能や組織を民営化して自由に競争させようという考えだ。そこで著者は問いかける。「民営化が最も効果的な機能を社会にもたらすのだとしたら『警察』や『裁判』をどうして民間の競争にしないのか」と。

ここで私は本を閉じ、しばらく考え込んだ。警察の民営化は良い事なのか悪い事なのか。警察と郵政は何が違うのか。私の持論は国家すら民営化して、個人が自由に国家を選べるようにしたらどうか、というものだった。税金が安くて、なおかつ治安の良い住みやすい国家があれば誰でもそこに住みたくなるだろう。そうなるように国家間での競争があって、民営化された国家の経営者たる政治家が互いに切磋琢磨するのが理想の姿ではないか、と。

明確な答えを出せないまま本を開いて読み続けると、そこには仮に警察を民営化したらどうなるかが書いてある。民営化された警察はより強い暴力を持とうとする。つまりは民営化した警察とは暴力団に他ならないのだ。

そう思って世界を見渡してみると、その組織の構成員全員が納得して一定の暴力を持たせる事に合意した組織・機能として警察が存在せず、民営化警察が跋扈しているようだ。ある国はNATO警察に頼り、またかつてワルシャワ機構警察もあったがそれは倒産してしまった。最近はアメリカ警察が業績を伸ばしているようだが、今回のイランへの攻撃などを見ると、やはり公的な警察必要性を感じる。

2025年7月1日火曜日

今週とは何か

 今日は71日。では一昨日629日は今週の日曜日か先週の日曜日か。私は当然今週の日曜日だと思っていたが、先週の日曜日だと言う人が現れてちょっと驚いた。

私にとって「今週」とはカレンダーの今日を含む一行であり、だから今日の時点で「今週」は629日から75日を指す。ところがさっきの人にとっての「今週」とは「今日から始まる7日間」を意味しているらしいのだ。

日程に関する言葉として「今日」「今週」「今月」「今年」などがあるが、「今週」だけは定義が曖昧だ。「今日」は真夜中の00分に始まる24時間を指しており、まさか「現時点からの24時間」と思っている人はいまい。午後4時の時点で「今日の昼飯」と言えば約4時間前に食べた飯で、20時間後に食べるであろう飯では決してない。

これは「今日」「今月」「今年」が全て天体の動きを基準にしているのに対して、「今週」だけは天体の動きとは無縁で人間の都合だけで設定されたものだからだろう。

カレンダーの一行が「今週」だとする私の認識が多数派であろう事は「週末」という言葉がある事から推測される。もし毎週「今週」が「今日」から始まるのであれば「週末」の曜日が固定される事はない。しかし世間一般には「週末」とは金曜の夕方から土曜・日曜を指す。

さて、日曜が「週末」だとするとカレンダーで日曜が行の一番左に置かれるのは何故か。これだと「今週」は日曜から始まるようで、ならば「週末」ではなく「週頭」とでも呼ばれるべきではないか。日曜が「週末」なら「今週」は月曜から始まるのか。ならばやっぱり629日は先週の日曜だったか。

「来週の日曜に会おうね」とデートの約束をした貴方、それが76日なのか13日なのか確認しておかないと大変な事になりますよ。