2026年4月7日火曜日

それをお金で買いますか

 前回は、かつて現金よりも古着の方が有難がられた時代があった事を驚きを持って書いた。しかし、考えて見ればお金より大切な物があるのはとても幸せな事ではないだろうか。

標題の言葉は、白熱教室で知られるマイケル・サンデル教授が昨今の全てをお金で解決しようとする風潮に疑問を投げかける著作の題名である。例えば、親戚の人から夕食の招待を受けて、その料理が美味しかったからと代価の支払いを申し出たら、おそらく怒りを買うであろう。この時、お金は価値あるどころか嫌われ者になっている。その他、お金の功罪について様々な事例の考察が書かれ、お金が万能ではない事が示される。

だが世の中にはお金が万能だと信じている人も少なからずいるらしい。壊れたテープレコーダーのように関税を持ち出す人は、外交問題をお金で解決しようとしている、謂わば正義をお金で買いますかと問いかけているようだ。そういう人達は恐らくは身近な人が愛情を込めて作った食事を感謝の気持ちで味わった事がないのではなかろうか。高給で雇った腕の良い料理人に作らせた食事に舌鼓をうった事はあっても。

こうした金満家が国の運命を左右する立場にいるのは如何なものか。資本主義の国は金持ちが権力を握る弊害があるとして試行された共産主義も、こちらは権力を握った人間が金持ちになる仕組みになってしまった。旧ソ連の中央アジアの国では首相の資産が国のGDPの半分にもなる国もあるとか。その首相は「この国のため最善を尽くす。これからはウソも裏切りも不正もない」と演説するが、本当にそうなら個人に資産が偏る筈がない。

ソクラテスは「貧乏こそ私が潔白である事の証拠だ」と弁明した。トランプ大統領には標題の本を読んで貰いたい。今なら古本屋で100円均一の棚に並んでいる。

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