2016年5月3日火曜日

野生生物

帰省時の夜の無聊の慰めにテレビ番組を録画しておくのだが、その中に「新島誕生 西乃島」というドキュメンタリー番組があった。未だに噴火拡大を続ける西乃島の実態を報じるもので、中で特に感心したのはこの島だけに生息していたというアオツラカツオドリが彼等にとっては大災害であるこの事態に耐え、島で生き延び、世代交代を果たしている事だった。かつて緑豊かだった島は溶岩流に襲われ今は草一本生えていない。その中、恐らく海の生き物を糧にしていたのだろう、他の鳥が落とした羽を巣の材料に利用しながら若鳥に餌をやる親鳥の姿が無人カメラに収められていた。
渡り鳥が何の目印もないのに方向を間違えずに飛んでいったり、鮭が自分の生れた川を忘れずに遡上したり、野生の生物は我々が考えている以上に賢く生命力に溢れている。
「量子力学で生命の謎を解く」は生命現象の不思議を最新の科学で解き明かそうとした本で、恐らく私にとって今年の一番になるだろう。これによると、植物の光合成や動物の呼吸、嗅覚や視覚、聴覚などは量子力学の現象、つまりトンネル効果や量子のもつれがないと説明できないと言う。そして「死はもしかしたら、生命体が秩序立った量子の世界との結びつきを断ち切られ、熱力学のランダムな力に対抗するパワーを失うことなのかもしれない。」とも。
中国映画「唐山大地震」では大地震前の鳥や虫の異常な行動が描かれる。それが史実かどうか知らないが、野生生物が我々の知らない神秘的な力を備えている事は確かなようだ。今回の熊本地震でもひょっとした山の奥深くでは野生生物に何らかの異常が見られたのではないだろうか。
地盤の変異を測定する工学的アプローチが機能しないなら、野生生物を注視するのも一つの方法かもしれない。

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