2019年11月19日火曜日

せこい

数年前テニス仲間で「舛添ショット」という言葉が流行った。コートの後方で構えている相手に対して、ボールをネット際にポトリと落とす所謂ドロップショットを表現したもので、要するに「せこい」という訳だ。勿論テニスでは立派な戦術で高度の技術を要し、決してせこい訳ではないのだが。昨今なら「健作ショット」とでもなるのかな。桜を見る会だって見方によれば結構せこい。
語源辞典によれば「せこい」は「こせこせする」とか「こせつく」の「こせ」を逆にして、形容詞形にしたものだそうだ。それにしても、お金に困っているとはとても思えないような人が、わずかなお金のために折角の名声を犠牲にしてしまうのは理解に苦しむ。舛添さんの場合は気鋭の政治学者として名を売り、政界に進出してからは一時は与謝野馨氏と人気を二分する程の期待を博し、全てが順調だったはずなのに、ホテル三日月や中国土産などですっかりケチをつけてしまった。
その舛添さんが政治学者として優秀である事を示す本に出会った。最近出版された「ヒトラーの正体」という本がそれである。あれだけ優秀なドイツ民族がどうしてあのようなモンスターを産んでしまったのか、そして丸め込まれてしまったのか。その疑問にかなり的確に答えてくれる。
この本で初めて知ったのは、ヒトラーはオーストリア生まれでドイツ国籍を取得したのは首相になるわずか一年前だったという事、ユダヤ人迫害の背景にはローザ・ルクセンブルグなど11月革命で第一次大戦敗北の原因を作ったのがユダヤ人だったという匕首伝説がある事など。引用文献には原本に引用箇所が記載されている頁数まで明記してあり、著者の誠意を感じた。この本は決してせこくない。一読をお勧めする次第である。

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