2022年11月1日火曜日

か、かかーか:トライアングル第790回

 ハデバやシシシなど懐かしい風景がなくなったのも寂しいが、方言を聞く機会が減ったのも寂しい。石川啄木は「ふるさとの訛りなつかし」と詠った。あの頃だと上野駅の東北線ホームに行けば懐かしい訛りが聞けたのだろうか。ならば京都駅の山陰線ホームに行けば出雲弁が聞けたのか。最近は地元に帰っても出雲弁がなかなか聞こえない

スーパーでレジを打っているおばさんが標準語で話すのは店から指導もあるだろうから仕方ないとして、還暦の同窓会で同窓生のおばさんが「そげだわね」でなく「そうなのよ」なんて言うのを聞くとシラケてしまう。不必要なまでに方言を使うのも如何かと思うが、懐かしい場面では方言の持つ温かみが欲しい

そんな訳で東京近辺に住む高校同窓生のメーリングリストでは「こぎゃん出雲弁知っちょーか」という話題で盛り上がった。私が出した「か、かかーか」は結構難問だったようで、「さ、なんかい?」という質問が多数あったが、古ぼけたラジオを指差して「か、かかーか」「えんやめげちょーが」という文脈なら皆納得してくれた。

「これは」の「か」と疑問の「か」を組み合わせると、「か」だけでかなりの表現が出来る。これに「母さん」の「かかー」を追加して、ある友人は「かかー、かかか」という文を作った。両手で小さな虫をパチンと殺して、そばにいる母さんに示している情景が浮かぶ。

もっと傑作は、奥さんと車の購入について話し合った時の事を表現した「かかー、かーかーか」という文だ。漢字仮名交じり文で書けば「嬶ー、car買ーか?」になるのは言うまでもない。英語まで出すのは若干邪道気味かな。

方言が聞かれなくなったのは何故だろう。中国の少数民族は必至で自分らの言葉を守ろうとしているのに。出雲弁に誇りを!

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