出雲の稲妻、里見女流五冠がNHK将棋トーナメントの一回戦を突破した。テレビで観戦して、勝利が決まった瞬間には思わず拍手した。相手の船江恒平六段は加古川清流戦での優勝経験もある関西の強豪で簡単に勝てる相手ではない。そんな相手に臆することなく冷静な指し回しで攻めをかわし最後は寄せ切った。勝利後のインタビューで里見さんは「意外と(自玉が)寄らなかったのが幸運でした」と謙虚な弁を述べていたが、きっと詰まないのを読み切っていたに違いない。
3月末に行われた女子枠の決定戦の勝利も見事だった。この時の相手は里見さんと女流棋士の中で双璧をなす西山女流三冠。始まる前、対戦する二人を紹介する際にアナウンサーは「50戦戦って対戦成績はほぼ互角」と言った。男性棋士の対戦なら必ず何勝何敗か明言するのにと思いネットで調べたら里見さんのの26勝24敗だった。はっきり数字を言わないのは女性蔑視ではないのかと、ちょっとすねて見たが考え過ぎか。
こんなに強い里見さんなのに、プロ棋士編入試験の結果は残念だった。緊張のあまり実力が出し切れなかったのだろうか。合格すれば女性初のプロ棋士誕生という快挙だったのになんとも残念だった。
囲碁の世界では上野さん、藤沢さんなど男性棋士に交じって互角に近い成績を残している女性が出てきた。囲碁の方がより女性に親和性が高いのか。そういえば源氏物語絵巻などに女性が囲碁を打つ姿は描かれているが、女性が将棋を指す図は見たことがない。囲碁の場合双方が穏やかな手を打ち合って、特に大きな戦いもないまま一局を終わる事も可能だが、将棋は必ず戦いになる宿命にある。そんな事も関係しているかも知れない。
さて、里見さんの次の相手は久保九段。それに勝てば次はおそらく藤井聡太が待っている。頑張れ、里見さん。
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