この一年、皆様にはどんな年だったでしょうか。
世の中では戦争や猛暑、芸能界政界での不祥事等が記録に残るのだろうが、私には身体の経年劣化を実感する年だった。高血圧対策の薬が手放せなくなり、腰痛とそれに起因する右脚の痺れと痛みに悩まされた。医者の見立てによれば椎間板ヘルニアだそうだが、幸いテニス等の運動は支障ないとの事なので週四回のテニスは続ける事が出来た。身体の経年劣化に伴い、お酒の量を控える努力をしているが、テニスが終わってから映画や将棋対局を見ながら飲むビールは格別だ。
で、今年見た映画で印象に残っているものを挙げると「グリーン・ゾーン(2010)」と「ホワイトナイツ/白夜(1985)」になろうか。前者はイラクに大量破壊兵器があるとして攻め込んだ米軍を描いた反戦映画、後者は自由を求めてソ連からアメリカに亡命したバレエダンサーと、逆に商業主義に毒されたアメリカを捨てソ連に亡命したタップダンサーが交流するサスペンス。どちらも自信を持ってお薦めする。
本で印象に残っているのは「死の講義」(橋爪大三郎)と「無限を読みとく数学入門」(小島寛之)の二冊。前者は哲学や宗教が死とどう向き合っているかを解説し、死について考える本。後者は無限をテーマに様々な数学的話題を取り上げているが、アキレスと亀のパラドックスをこれ程真摯に深く考察した本は初めてだった。
無限と言えば、宇宙の無限の果てはどうなっているのだろう。昔の人は無限の先にある地の果てを知らなかったが、今はそれを小学生でも知っている。いつか科学が発達すれば時間軸を超越して宇宙を俯瞰する視点も持てるだろうが、その前に私の生が尽きるのが残念だ。
年明けは九日からお目に掛かります。皆様良い年をお迎え下さい。