今年も残りあとわずか。例によって今年の一番を振り返ってみる。
読んだ本の中で一番面白かったのは456回で紹介した『量子力学で生命の謎を解く』。矢張りこれを越える本には出会えなかった。次点のものを二点あげるとすれば竹村公太郎著『日本史の謎は地形で解ける』と吉本佳生著『暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり』を挙げる。
前者の著者は土木技術者で全国のダム工事や橋梁工事の経験を基に地形から歴史の謎解きをする。例えば半蔵門こそが江戸城の正面の門であったのは何故か、など。後者は話題のビットコインについて理解したくて読んだのだが、RSA暗号の仕組みは理解できたものの、ビットコインそのものについては今ひとつ完全理解には至らなかった。いわく『ビットコインとは「コンピュータ上に記録されたデータを暗号化し、その「一意性」を保証することで通貨になりうる属性をもたせたデータ」である。』と。
映画で面白かったのは『シン・ゴジラ』。アタフタする官僚機構を嘲笑ったコメディとして楽しめた。もう一度見たい映画といえば八年前のものになるがウッディ・アレン監督の『それでも恋するバルセロナ』かな。堅実な常識人のベッキーと、奔放に自由を求めるクリスティーナの二人の女性の恋の物語。真似をしたくても出来ないのが残念だがスペイン人男性の女性の口説き方はなかなか見事。ペネロペ・クルスの存在感が圧倒的だった。
しかし何と言っても今年の一番は何人かの同窓生と思わぬ再会が出来たこと。このコラムの縁で互いがテニスを趣味にしている事が分かったり、飲み屋でばったり会って互いに囲碁が好きな事が分かったり、家の移転で帰省の機会が多かったのも幸いしたが旧交が蘇ったのは今年のダントツの一番だった。