コロナに翻弄された一年だった。
二月の中頃は「この二週間が山場だ」と言われた。あれは一体何だったのだろう。最近また「勝負の三週間」と言われて、実は勝負でも何でもなかった。四月には都知事が「自粛疲れはまだ早い」と発言したが、確かに年末になってもまだ自粛要請が続いている。あの頃と明らかに違うのは最近「収束」という言葉を殆ど聞かなくなった事だ。もう収束は諦めてしまったのか。
笑えると言ったら不謹慎だろうか、ちょっと首を傾げたくなるニュースもあった。マスクをしてジョギングする人、息苦しいので通気性の良いマスク着用とか。通気性が良かったらマスクの意味がないのではないか。給付金の申請にあたっては混雑を避けるためオンライン申請を推奨したが、役所の窓口が大混雑。確かマイナンバーカードの関係だった。給付金は一人10万円か一世帯30万円かの議論もあった。テレビの某キャスターは「打てるべき手をすぐ打つ事が大事」と発言した。打てるべき手?そんな日本語あったかな。「打てる手」と「打つべき手」の両方やれ!という事を一度に言ったのだろうか。何と凄い省力化表現か。
家にいる時間が長くなり、読書や映画鑑賞で過ごす時間が増えた。今年一番の本と言えば「陰謀の日本中世史」呉座勇一著を挙げたい。保元の乱から始まって、平治の乱、義経の悲劇、足利尊氏の策略、応仁の乱の日野富子、本能寺の変、石田三成と徳川家康との確執など、いろいろ面白可笑しく語られる陰謀や裏話だが、実は極く普通の人間がやった事だと語る。勝負というものは双方が多くの過ちを犯し、より過ちが少ない方が勝利するのだとする歴史のプロとしての検証には説得力があった。
では、皆様良い年をお迎え下さい。来年こそコロナが収束しますように。